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村上龍が語る、村上春樹の小説の魅力。爆笑問題×村上龍 日曜サンデー対談書き起こし

前回の記事からの続きです。

今回は、村上龍が村上春樹の小説の魅力について語ります。

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自意識を吹き飛ばしてくれる強烈な何か

ーー村上春樹の小説について
太田:いつも村上(龍)さんの小説はね、太いんですよ。線が太いというか。あの何ていうか、か細いような、デリケートなものあるじゃないですか。まあ誰とは言わないけど、もう一人の村上みたいなやつ(村上春樹のこと)。あの方は…でもよくね、デビュー当時から比べられるというかまあ、並び称されて。
村上:まあ今はそんなに会ってないですけど、昔仲良くて、海外でご飯食べたり、日本でご飯食べたりもしてて。まあお互いに、違うタイプの作家だなって思ってたから、そうやって付き合えたんじゃないかなと思うんですど。

太田:今、すんごい売れるじゃないですか、向こう側の人は。
村上:ええ。
太田:あれ、読まれました?こないだの。(「色彩のない多崎つくると、彼の巡礼の年」)
村上:最近のは読んでないですけど、海外で人気あるのは分かりますよ。
太田:分かる?分かんねえんだなぁ…
一同:笑

村上:あのー、すごく一般的なことを春樹さん書いてるから。
太田:一般的でしょ?
村上:ええ。
太田:だから…つまんないじゃないですか。一般的なことって。

村上:だから一般的なことが、興味があって面白くて、なんていうのかな、自分と同じような悩みを抱えてるんだなっていう共感を呼ぶ人が結構世界中に…そういう「最大公約数」みたいなのが大きいんじゃないかと思うんですよね。そういうことをやるのは、かなり難しいことですよ。

太田:難しいですかねぇ…?まあ確かに難しいですね。僕もそれが出来ないで悩んでるんで。
田中:笑
村上:ただ僕は「最大公約数」みたいなことは書けなくて…
太田:書けないでしょうね。

村上:もう、自分がこう思うという…(ことしか書けない)。あのなんていうか、僕が春樹さんと一番違うのはですね、その…「自意識の揺れ」とかっていうのがあって。「自分はあの時こういう判断をしたけれどよかったんだろうか」とか。それはそれですごく大事だと思うんですよ。ただ僕はそういう自意識の揺れっていうよりも、その自意識の揺れをこう、吹き飛ばしてくれるような何かが好きなんですよね。

太田:そうそうそうそう。
村上:その自意識の揺れにもすごく大事なところがいっぱいあると思うんだけど。ただ自意識の揺れって、考えてみるとキリがないんですよ。答えが無いかもしれない。

太田:うん。まさしく。若者っぽいですよね、それって。すごく。
村上:…そうですね。笑 だから、それを吹き飛ばすものっていうのは、結構パワーがあって、例えばまあ…昼からあれですけど…SEXとかね。戦争とか。

太田:上手いですか、SEX。
村上:普通です。
田中:「普通です」とかいらないですから。笑

村上:それがいいっていうわけじゃないんですよ。
太田:いいとか悪いじゃないですよね。
村上:だからそういう、自意識の揺れを吹き飛ばしてくれるものっていうのが、まあすごい音楽とか。そういったものが、僕の方は好きなんですよね。

太田:だから僕が、村上春樹さんのことが嫌いだから悪口言ってるんだと思われると困るんだけど、村上龍さんと、たまたま名前が「村上」っていうだけで、比べるのに丁度いい。比べるって言っちゃ失礼ですけど。するとね、全然真逆だっていう気がするのね。
村上龍さんのは、今まさに現実で起きていることを、例えば「半島を出よ」なんかでも、一時期からやっぱり経済ってすごく…村上龍さんにとって、やっぱり「経済」っていうもの抜きには、小説は書けないっていうところで、どんどん取り込んでいくじゃないですか。取り込んでいって、現実、実態がこうなんだから、それをどうするかっていう。その意識の揺れやなんかは、心の中でやってるところから飛び出して、現実、今の社会でどう生きる、みたいなことでもがいたり転んだり、血だらけになったりするんですよ。でも村上春樹さんは、そこからちょっともう、すーっと上にいて、なんかもう北欧のほうまで行っちゃって。
田中:笑

太田:そういうところで、あんまり殻から出てこようとしないですよね。それはとっても若者らしい悩みだと思うんだけど、僕なんかはわりとぎゃーぎゃーぎゃーぎゃーもがきたい。だから共感を感じるのはやっぱり、今をどうするっていうことをやってる龍さんのほうなんですよね。だから龍さんにとって、春樹さんをみてて「いいかげんこっち来いや」みたいのは?

村上:でもまあ、小説家は皆それぞれに自立してるんで。春樹さんみたいな人が居たほうが僕も…いいっていう言い方は変ですけど。

田中:色んなタイプが居たほうがね。

***
「自分はこう思うんだ」ということしか書けない、という村上龍。
多くの人の共感を掴む「最大公約数」としての物語を作り出す村上春樹。

どちらも素晴らしい小説家で、私は両方の小説のファンです。

でも「自意識の揺れを吹き飛ばすような強烈な何か」という村上龍の表現はとても「らしく」て好きです。

またまた次回へ続きます。

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コメント

  1. […] 村上龍が語る、村上春樹の小説の魅力。爆笑問題×村上龍 日曜サンデー対談より […]