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必需品は「何もない」こと。ありあわせのものだけで生きていく、究極のミニマリズム

 「あなたの必需品は何ですか?

 こう聞かれたら、あなたは何を自分の「必需品」として挙げるだろうか?
 携帯電話、パソコン、車、家、本、ノート、煙草、酒…すぐに思いつく人もいれば、なかなか思いつかない人もいるかも知れない。

 「必需品は、必需品がないこと。

 こう答えたのは、探検家で写真家の石川直樹という男である。
 1977年、東京生まれ。2001年に当時の世界最年少での七大陸最高峰登頂を達成。その後もエベレストなど最高峰クラスへの登山を精力的に行い、同時に写真家としても活躍している。

 以前、以下のエントリーで紹介した「オトナの!」という番組に、この石川直樹と坂口恭平が出演していた。

 この坂口恭平さんもかなり強烈な人物なのだけど、今日は石川直樹さんについて書きたいと思う。(坂口さんについてはまた別の機会に紹介したい)

 動画は3本立てだが、中編で彼が「必需品」というテーマで語るシーンがある。

 この動画を見て頂ければ、私と同じように、この石川直樹という人物に好感や興味、果ては憧れのような感情を抱く人もいるのではないかと思う。

もちろん道具とか装備とかにはこだわっています。やっぱり、生きるか死ぬかのところで行かなければいけないので。

とした上で、彼なりの「必需品」の定義についてこう語っている。

 必需品は、知恵だと思っていて。
すべての道具とか装備を、知恵に置き換えて生きていけるんじゃないかと思ってるんです。
 だから、究極の旅、究極の冒険というのは、なるべく裸に近い状態で歩き続けることだと思っていて。

 例えば、僕がいま満点の星空を見たら、ただ「綺麗だな」って思うんですよ。
でもミクロネシアの人が星を見たときに、ただ綺麗だな、じゃなくて、その星の光を自分の体に取入れて、知恵として翻訳することが出来る。ここは今どこで、俺たちが進むべき方角はこっちで、あそこには何があってこれがあってっていうのが、星の位置によって分かる。
 それは、自分の体を使って翻訳しているんです。そういった知恵が一番必要で、あり合わせのものを使って生きていくっていうのが僕はすごく重要だと思ってるんで。

とにかく必需品って言われたら、「道具がいらないこと」が必須。

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利便さによって失うもの

 彼のこのようなスタイルは、現代に対するある種のアンチテーゼのようにも受け取れる。

 世界は日々革新を重ね、日々新しいものを生み出している。その結果、私たちはかつてないほどの利便さを手に入れた。本屋に足を運ばなくても、注文した翌日には欲しい本が自宅に届けられ、Amazonが個々人の趣向に合わせたリコメンドをしてくれる。Gunosyのようなキュレーションサービスが好みに合わせたニュースや話題のトピックを毎日配信してくれるし、そのうち自動車の運転だって自分でしなくてすむようになるかも知れない。

 便利なことは、悪いことではない。けれど、その代わりに失うものもあるように思う。

 rakuishi(@rakuishi07)さんが先日の「ものを減らし続けた向こう側」というエントリーでこんなことを書かれていた。

 これまで溜め込んだものを捨てるのは、自分の一部を切り捨てる感覚に近く、卒業式のような寂しさが含まれている。だが、ものを少なくすることには、いくつかの良い側面があることを知った。
 例えば、これから捨てるものの役割を他のもので担ったり、知恵で代替する喜びがある。少ないもので生きていけるということを確認する機会になる。何もかもが嫌になった時に逃げ出すための準備ができている安心感がある。

 知恵で代替すること。

 石川さんも「すべての道具とか装備を、知恵に置き換える」と仰っているように、この代替行為というのが、利便さによって失われるものではないかと私は考えている。

 便利になればなるほど、人は自分の頭では考えず、自分の体を使わずに生きていけるようになる。
 言い方は悪いけれど、どんどんバカになっていってしまうのではないかと、そんなふうに感じることがある。事実、今までなんでもなかった漢字を思い出せないなんていうことはよくあるし、そのせいで漢字書き取りアプリなどが流行るのは、もはや何かのジョークのようだ。私達はその利便性によって失われつつあるものを、利便性によって取り戻そうとしているのだ。

あり合わせのものだけで生きていける強さ

 ここで生きるんだったらここにあるものを使って生きていけばいいし、山の中だったら山のものを使えばいいし、海だったら海にあるものを使って生きていけばいいと思ってるから。
 やっぱり、必需品は何もなくて、自分の体ひとつで生きていくっていうことが必需品。

 こういう考え方は、私の好きなミニマリズムにも通じる考え方で、とても共感するというか感銘を受けた。
 彼の言う「体ひとつで生きていけること」というのとは少し異なるが、私は「裸になってもカッコいい人が一番カッコいい」と思っている。(これは体型や姿勢など、普段隠されているところまですべて露わになるから)

 また、村上龍の言葉で、「本当の支えになるものは自分自身の考え方しかない」というのがある。

 ここまで書いてきたことをまとめると、最終的に頼りにできるのは自分の知恵や肉体、考え方であって、それらは日頃から鍛えておかないと気付いた時にはスカスカのボロボロになっている、ということ。

 石川さんが、「おれ、それが一番カッコいいと思っていて」と仰っているが、私も激しく同意する。

 何にも、誰にも頼らずに生きていくなんてことは不可能かもしれないけど、頼るものを出来るだけ少なくするための努力や訓練は可能だと思う。

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