スポンサードリンク

村上龍の人生相談。「就職できない」「給料が増えない」というのは悩みではなく、立ち向かうべき現実です

 本棚の整理をするときに気を付けなければいけないこと。それは、「そういえばこんな本あったな」と、ついつい読み始めてしまうことだ。パラパラとページをめくったが最後、「この本、改めて読むとおもしろいな」と、腰を据えて読みいってしまう。

 今日紹介する、村上龍の『自由とは、選び取ること』も、そんな「ついつい読みいってしまった」本のひとつである。

スポンサード リンク
スポンサード リンク

村上龍の人生相談

 本書は、『BIG tomorrow』という月刊誌で連載されていた「村上龍の人生相談 選択と自由」というコーナーを一冊にまとめたもの。読者から寄せられた様々な相談や悩みについて、村上龍の身も蓋もない回答が冴え渡る。

 BIG tomorrowはビジネスマン向けのマネー誌だ。そのため、読者からの相談も「収入」や「仕事」にまつわるものが多いが、中には恋愛相談や人間関係にまつわる悩みも少なからずあった。

 私は何度か、誌面でこの人生相談のコーナーを読んだことがある。村上龍の文章を小説以外で読む機会というのはあまりないので、嬉しい半面すこし驚いた。「そうか、村上龍も人生相談とかやるんだな」と。

 そして、その内容も、ある意味予想通りというか、「村上龍が人生相談とかしたら、そりゃこうなるよね」というものだった。「あなたは何も悪くありません」「あなたが悩むのも当然です」などと、質問者を安心させたりする気は皆無である。笑

 本書を通して読み取れる村上龍の一貫したメッセージは、「現実を見ろ」というもの。とことんロジカルに、曖昧さのかけらもなくズバズバとモノ言うその姿勢は、もはやひとつの哲学であるかのようだ。

それは悩みではなく、立ちはだかる現実です。現実は基本的に変化しません。

 この本、改めて読み返してみたら本当に金言だらけで、ポストイットを貼りまくったのだけど、その中でも特に印象に残ったものを紹介したい。

 「年収が低くて結婚できない」「共働きをやめて、生活が一変した」「正社員になったものの生活がカツカツ」といった相談に対し、村上龍はこのように答えている。

 要は、どうすれば給料が上がるか、収入を増やせるか、ということでしょうが、回答するのはほぼ不可能です。「火星に行きたいのですがどうすればいいのでしょうか」という相談のほうがマシかもしれません。宇宙飛行士を目指したらどうでしょうとか、ロシアではお金を出せば宇宙船に乗れるらしいので巨額の資金を用意すべきですとか、回答らしきものが書けます。
 雇用状況が悪くてなかなか仕事が見つからず、たとえ正社員になっても給料が上がらないというのは悩みではなく、ほとんどすべての人に立ちはだかる現実です。現実は基本的には変化しません。

 「それは悩みではない。立ちはだかる現実だ」という言葉に、ものすごく感銘を受けた。というのも、本来悩みというのは、曖昧でぐちゃぐちゃしたものが多い。だけど、「これは現実なんだ」と認識の方法を変えると、少しすっきりするような気がする。「目の前の現実に対処するための方法は何か」という具体的な行動につなげやすくなる。

 水道栓が破裂して水漏れが止まらない、という現実に対して取るべき行動が明確なように、”悩み”ではなく”現実”と捉え方を変えてみると、取るべき行動が明らかになってくるかもしれない。もちろん、そんな簡単にいかないことのほうが多いのだろうけれど、「悩みではない。現実だ」というフレーズは言い得て妙というか、名言だなと思った。

まずやるべきことは、優先順位を決めること

 村上龍は本書を通して「優先順位」を決めることの重要性を何度も説いている。そして、自分で優先順位をつけることが出来れば、誰かに相談などする必要もなくなると。

 例えば、先ほどの相談の例でいくと、「収入を上げることと結婚することのどちらを優先するのか」「妻にもう一度働いてもらうのか、それとも今の生活水準で我慢するのか」「経済状況が悪い地方で暮らし続けるのか、それとも高い賃金を求めて東京などの大都市に移り住むのか」といった、具体的なことだ。

 これらに対して自分なりに優先順位を決めてみる。「どうすればいいでしょうか」と頭を抱えていては、何も解決できない。自分が直面している現実はこうなんだから、まずはそれを認めて、取りうる行動を具体的に決めることが大切なのだと、本書を読んで気付かされた。

 仕事やお金の話だけでなく、恋愛相談に対する村上龍の回答も「なるほど」と思わされるものがたくさんあった。村上龍の書籍にしては珍しいタイプの本なので、興味のある方は是非!

スポンサード リンク
スポンサード リンク

気に入ったらシェア!

スポンサード リンク
スポンサード リンク