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「マオ・レゾルビーダ=未解決の人間」の葛藤と奮闘の日々を描いた自伝。小野美由紀著「傷口から人生」

 「マオ・レゾルビーダ」という言葉をご存知だろうか?
 これはブラジルの言葉で、「未解決の人間」という意味を持つそうだ。私がこの言葉を知ったのは、小野美由紀さん(@MiUKi_None)が書かれているこちらのブログを読んで。

参照:『9日目:私はマオ・レゾルビーダ(未解決人間)_(None)

 彼女の書く「スペイン巡礼記」が好きで、以前このブログで紹介したこともある。

参照:『誰にでも書ける記事と、自分にしか書けない記事

 旅行記だけでなく、結構どぎつい性愛についても書かれていて、いつも興味深く拝見している。最近はNoteのほうでよく書かれているようで、そちらの更新も楽しみにしている。

参照:『小野美由紀 Note

 そんな小野さんが、初のエッセイ集であり自伝でもある作品「傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」を出版された。Twitterのタイムラインを見ている限りではとても好評で、特にその内容のネガティブさというか、どろどろした感じが印象的だったという感想をよく見かけた。

Kindle版を購入し、先週末に一気に読み終えたので、今日はその感想を書いてみたい。

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ありのままの、裸の文章

 ここに書かれているのは、小野美由紀という人間がすべてをさらけ出した文章である。生々しいとか、ヒリヒリするといった表現が私としてはいちばんしっくりくる。何かを取り繕おうとか、うまく見せようとか、綺麗に仕立てようというあざとい小細工はいっさい感じられず、なんというか、ほんとうに「ありのままの彼女」がここに描かれている。

 自分には、ここまで自分をさらけ出した文章を書けるだろうか。
 書かれている内容は、先に述べたとおり、暗い話や彼女のトラウマとも呼べるネガティブなエピソードが多い。そういった内容を書くことには、少なからず抵抗があったのではないかと思う。楽しかった、素晴らしいエピソードならまだしも、自分にとって好ましくない、苦しかった過去を書くのには勇気がいるはずだ。

 けれど、本書にはそういった「あ、そこまで書くんだ」と思わされるような話がいくつか登場する。「傷口から人生」というタイトルが表すように、血が流れ出る傷口を正確に描写するように、生々しいエピソードが淡々と語られる。

 私は本書を読んで、真摯な文章というのはこういうのを言うんだろうなと感じた。

何者でもない自分から少しづつ自由に

 本書には、何者かになりたくて悶々とする彼女が、やがて何者にもなれなそうな自分に気付き、その何者でもない自分と向き合うために旅に出、少しづつ自由になっていく様が描かれている。その旅とはもちろん先に紹介したスペイン巡礼のことなのだけど、そこで出会う様々な、ユニークな人々。「ああ、旅っていいなあ」と、シンプルにそう思える話がたくさんあった。

「人生と、旅の荷造りは同じです。いらない荷物をどんどん捨てて、最後の最後に残ったものだけが、その人自身になる。歩くこと、旅することは、その『いらないもの』と『どうしても捨てられないもの』を識別するための作業なんですよ。私の人生は残り長くてあと20年位だけど、その間にどれぐらい、いらないものを捨てられるかが、『自分が何者だったか』を決めるんです」

 これも小野さんが、イスラエルで出会ったという男性から言われた言葉だそうだ。
 旅の途中で出会ったいろんな金言が、彼女の考え方や生き方を少しづつ変えていく。
 
 自傷癖やパニック障害を経て、危うくもたくましく転がり続けた彼女の奮闘記。まっすぐに響いてくる文章がとても素敵だった。

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