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その言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?

 最近は仕事で、プロジェクトの進捗状況やタスクの管理、計画の予実などをひんぱんに確認するようになった。新しい仕事に関わりだしてから、今までにはなかった細かさと単位で仕事を管理する必要に迫られている。専任のコンサルタントを交えて仕事を進めているため、彼らの仕事ぶりを間近で見れるのは刺激になるし、勉強にもなる。資料のつくり方、会議の進め方、議事録の取り方など、「やっている人はここまでやるんだな」と感心する場面が多々ある。

 そんな中、会議やメールのやりとりでひんぱんに耳にしたり目にしたりする聞きなれない言葉があった。話の流れや、その言葉の使われ方から、私はその言葉を「仕事の内容を細分化し、”誰が何をいつまでにやるのか”を明確にした管理表」のようなものなんだろうなと推測した。

 それは”WBS”と呼ばれていて、プロジェクトのメンバーはそのWBSに基づいて仕事を進めていく。計画に対する実績があり、タスクをこなす担当がいる。いつまでにやるのかという納期が明確に記され、遅れようものなら理由とリカバリー案の提出を要求される。最初はそれが窮屈でプレッシャーに感じていたけれど、何か大きな計画を滞りなく遂行しようとすれば、きめ細やかにマネジメントできる人がいなければならないし、計画の進行状況は皆と共有されなければならない。そのためには、どうしてもこういった管理が必要になる。

 ある日、私はずっと気になっていたことを、ある会議の最中に聞いてみた。私はメンバーの中でいちばん下っ端なので、マヌケな質問をしてもある程度は許されるのだ。

「ところで、その”WBS”って、どういう意味なんですか?」

 私はすでに、その”WBS”が何を指すのかはだいたい理解していた。ただ、”WBS”って何の略なんだろうと思ったのだ。

 ”WBS”とはどういう意味なのか、私がそう聞いた後、場は一瞬静まり返り、誰かがぼそっとこう言った。

「…まあ、ググればすぐに出てくると思うよ。うちの会社だけで使っている言葉じゃなくて、割りとポピュラーな呼称らしいから」

 「あ、そうなんですね」とgoogleで検索してみると、確かにすぐに検索結果が表示された。”WBS”とは、”Work Breakdown Structure”の略で、プロジェクトマネジメントの手法のひとつらしい。

 
 私が検索結果を読み上げると、「へえ〜、そういう意味だったんだ」と皆が同じような感想を口にした。
 私がこのとき疑問に感じたのは、これほど、あたかも共通語であるかのように使われている言葉なのに、なぜ誰もその意味を知らないのだろうということだった。そして、いつの間にか理解した気になっているけれど、実はその意味を理解しないまま使っている言葉って意外と多いのではないだろうかと。

 これは私の個人的な姿勢の話になるけれど、私は、自分が使うのであれば、きちんと意味を理解した上で使いたいと思っている。自分が理解していない言葉で、いったい何を伝えられるんだろうと思うからだ。

 コミュニケーションの本質は、何かを伝えることだ。
 だから、いちばん大切なことは、必要な情報を、自分が知っている言葉と表現で相手に伝えること。

 略語や専門用語というのは、ある特定の前提知識や文脈を共有している集団や組織の中では有効に作用するけれど、それは必ずしもコミュニケーションの質を向上させるとは限らない。

 まずは自分がその言葉の意味をしっかりと理解すること。安易に分かった気にならず、分からないことは分からないと言うこと。そういう当たり前のことが、結果的に円滑なコミュニケーションの助けになるのだと思う。

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