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自分の「好きなこと」ではなく、自分の「得意なこと」を仕事にしたほうがいい

 「好きなことを仕事にしたほうがいい」という意見には、賛否両論あるかと思う。仕事というのは人生の大半を費やすものなのだから、好きなことを仕事にしたほうがより充実した人生を送ることができると考える人もいるし、好きなことを仕事にしてしまったばかりに、いつの間にか好きではなくなってしまったという話も聞く。

 私は、好きなことを仕事にできるに越したことはないと思うけれど、あまりそこにこだわる必要はないと考えている。というか、仕事なんて別に好きになる必要はないと思う。好きかどうかよりも、自分の得意なことができているか、自分の能力を活かせているか、すなわちその仕事は自分に向いているかということの方がより重要だと考えているからだ。

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好きなことは変化するが、得意なことは変わらない

 まず、自分の好きなことというのは年齢や環境によって変化していく。もちろん、幼少時代からずっと変わらずに好きだというものもあるだろうけど、それは例えば好きな食べものであったり、好きな作家であったり、どちらかというと趣味趣向であることが多い。

 しかし、自分の得意なことというのは基本的に変化しない。むしろ、さまざまな経験を経ることで、自分の新たな能力や特性に気付き、得意なことが増えることだってある。周りからの指摘によって、「そうか、自分はこういうことが人よりも上手にできるんだな」と気付くように。

 また、自分の好きなことと、自分の得意なことというのは必ずしも一致しない。好きであるがゆえに、その対象に費やす時間が必然的に増え、上達のスピードが上がったりすることはあるだろうけど、それがそのまま自分の得意なことになるとは限らない。
 逆に、特別なトレーニングや学習をしたわけではないけれど、なぜだか人よりも上手にできる、というものもある。好きなことがそのまま自分の得意なことになればそれがいちばんいいのだけど、そう単純にはいかないのが難しいところだ。

好き「だけ」が動機になってしまうと危ない

 プロのアスリートや芸術家など、それ以外の職業についている自分をイメージできない、それ以外の人生は考えられないという一部の特殊な人たちを除けば、好きなことを仕事にすることはリスクでもある。
 好きだという感情「だけ」で仕事を選んでしまうと、好きではなくなってしまった場合に、その仕事を続けていくための動機やモチベーションを維持することが困難になってしまうからだ。

 「あんなに好きだったはずなのに、どうしてしまったんだろう」というふうに、好きという感情は消えてしまうことがあるが、得意であるという事実は変わることはない。

村上龍「小説を書くことは好きではない」

 村上龍が「無趣味のすすめ」というエッセイの中で、「好きという言葉は曖昧だ」と書いていた。

 私事で恐縮だが、わたしは小説を書くことが好きではない。じゃあ嫌いなのかというとそうでもない。おそらくそれがなくては生きていけないくらい重要で大切なものだが、非常な集中を要するのでとても好きとは言えないのだ。わたしにとって小説を書くことは好きという言葉の枠外にある。
 子供のころから文章を書くことは得意だったが、好きではなかった。_「無趣味のすすめ」-好きという言葉の罠

 村上龍は、自分が作家になった理由を「それしかなるもの(なれるもの)がなかったから」だと、エッセイやインタビューで話している。

 私も、最近になってようやく今の仕事が「自分に向いている」という確信を持てるようになった。

 好きなことを仕事にできることの喜びも大きいとは思うけれど、自分の能力を活かせて、それが誰かの役に立ち、そのことでお金がもらえるということも、とても大きな喜びである。そのことによって、充実感を得ることもできる。

 私は、今の仕事が好きかと聞かれれば、「別に好きではない」と答えるが、向いているかと聞かれれば「向いている」と即答できる。それはある意味においては、その仕事が好きであるということ以上に価値のあることではないかと思ったりもする。

好きという気持ちはあとから付いていくる

 これから仕事を探そうとしている人、特に学生なんかは「自分の好きなことを仕事にしよう」と考えてしまいがちかもしれない。SNSやブログなんかでも「好きを仕事に」という言葉をよく見かける。
 でも、ここまで書いてきたとおり、好きという感情は案外あやふやなものだ。だから、自分は何が好きかということよりも、自分は何が得意なのか、人から上手だと言われることは何か、長時間続けていても苦にならないことは何だろうかという視点で考えることも、自分に合った仕事を見つける上で大切なことだと思う。

 あと、これは経験上言えることだけど、自分の得意なことに真剣に取り組み、それに対してポジティブなフィードバックを得ることができれば、自然と好きになっていくものだ。だから、「好きかどうか」ということは後付だったりもする。

 自分の好きなことを見つけるよりも、自分が得意なことを見つける(つくる)ことのほうが、自分に合った仕事に出会うための近道であったりもするのだ。

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