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それでも見てしまう。どこまでも救いのない映画 5選

 「本当に好きなものについて、私たちは他人に説明することはできない。好きという感情は脳の深部から湧いてくるもので、その説明を担当するのは理性なので、そこに本来的なギャップが生まれるからだ」と書いたのは村上龍だが、自分がなぜその対象に惹かれるのかを説明することは難しい。

 私は映画にしても音楽にしても、ハッピーで明るいものより、暗くてヘヴィで、鬱々としたものに惹かれてしまう。特に映画に関しては、できるだけ不幸せな結末の方がいい。今日は、そんな鬱屈した趣向の私がオススメする「どこまでも救いのない映画」を紹介したいと思う。

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『ミリオンダラー・ベイビー』

 救いのない映画と言われて真っ先に思い浮かぶのがこの作品。見たのはもう何年も前だけど、見終わった後に「こんな映画二度と見るかぁっ!」とパッケージを叩きつけたのはいい思い出である。クリント・イーストウッドは何が悲しくてこんな辛い映画を作ったんだろうと思うほど、主人公が辿る人生が過酷すぎる。

 ただ、こういう残酷な物語のほうが、ある意味現実的でリアルに感じられてしまう。「めでたしめでたし」みたいな映画とは違い、見終わった後に感じるのは形容しがたい後味の悪さや苛立ち、そして心にぽっかりと浮かぶ「なぜ?」という疑問符。何年も前にいちど見たきりなのに、見終わった後に感じた絶望感をありありと思いだすことができる。

 とにかく、絶望したければこの映画を見ろ、と言いたくなるほど救いのない映画だった。

『ミスト』

 映画好きの友人たちの間で、もっぱら好評だった作品。結末が秀逸な映画としてよく紹介されたりもしている。ずっと見ようと思っていて見れていなかったので、このエントリを書くと決めてからすぐに借りに行ってきた。

 この映画も「ミリオンダラー・ベイビー」に負けず劣らず救いがなかった。

 この映画、見るまではもっと辛気臭いというか、ジメジメした映画なのかなと思っていたのだけど、思っていたのと全然違った。英語版の予告編にはバッチリ映っているが、グロテスクな未確認生物が出てくる。日本語の予告編だと見せないように編集されているので、サスペンス寄りのパニック映画なのかと思っていた。

 この映画の主人公は、”生命的”には救われるのだけど、まったく救われていない。自分がもし彼の立場だったら、すぐに自殺するんじゃないかと思う。意味が分からないという方は、ぜひ映画を!

『オーバー・ザ・ブルースカイ』

 中学生や高校生の頃、ジャケットのカッコよさだけでCDを買う、いわゆる「ジャケ買い」をよくやっていた。ジャケ買いの特徴としては、そのヒット率の異様な低さがあげられるのだけど、この映画はジャケ買いならぬ「ジャケ借り」した作品。TATTOOだらけの女の人が車のボンネットに寝そべっている、その画に惹かれて借りた映画なのだけど、これがめちゃくちゃ良かった。

 カウボーイに憧れるミュージシャンと、TATTOOの彫師である女性が恋に落ち、やがてひとりの娘が生まれる。その娘は生まれながらに病を抱えており、病院での生活を余儀なくされている。娘はやがて命を落としてしまうのだけど、その娘の死をきっかけに二人は次第にすれ違うようになっていく。

 娘の死を乗り越え、また元通りの暮らしを取り戻したいと願うミュージシャンの父。過酷な現実から立ち直れず、自暴自棄になる母。

 この映画は音楽も素晴らしくて、実際に演奏して歌うシーンがたくさん登場する。ギターを弾き、歌をうたう二人はとても幸せそうに見えるけれど、内面は破綻していて、最悪の結末を迎えてしまう。

 安楽死を認めているベルギーの映画だけあって、作中に「延命治療はすすめない」という医者のセリフが普通に出てきたのが印象的だった。

『INTO THE WILD』

 過去に紹介エントリを書いたことがある、私がいちばん好きな映画だ。

生まれ変わったら…なんていう人は生まれ変わってもやらない
「INTO THE WILD」という、私が大好きな映画がある。大好きというか、人生でいちばん好きな映画である。  この映画は、...

 アラスカの奥地に打ち捨てられたバスの中から、ひとりの青年の遺体が発見される。彼はどうやって、何を求めてここに辿り着き、なぜここで命を落とすことになったのか。彼の死を遡り明らかになったストーリーを、ショーン・ペンが10年の歳月をかけて映画化した。原作はジャック・クラカワーの「荒野へ」。
 
 この映画を「救いのない」と表現するのはちょっとはばかられるのだけど、主人公であるクリスに自殺の意思はなかったことや、彼の帰りを待ち続けた家族のことを思うと胸が痛い。いちど見ただけでは分かりづらいかもしれないが、彼の行動にははっきりと「帰る意思」が現れている。

 物質主義を徹底的に嫌悪し、「人間関係は人生においてさほど重要ではない」と言い切っていた彼が、死の間際に残した言葉。この言葉は、どんな偉人の格言よりも重く私の心に刻まれた。
 この最期の言葉を知るために、この映画を見ても損はないと思う。

『パーフェクト・センス』

 こちらも大好きな映画。原因不明のウイルスにより徐々に五感を失っていくというストーリーなのだけど、パニック映画というカテゴライズがまったくふさわしくないくらい美しい映画。

 特に、途中からはセリフも音楽もほとんどなく、感覚を失いながらそれでも生きようとする人々の姿が淡々と映し出される。

 感染した人々は、五感を失う前に予兆のようなものに襲われる。急激な悲しみに涙が止まらなくなったり、猛烈な飢餓感に襲われあたりにあるものを構わず口にしたり、激しい怒りに駆られ暴力を振るったり…。最後、視力を失う前に訪れる予兆はあまりに酷すぎる。

 この映画の結末は、見ようによっては「救われた」と受け取る人もいるかもしれない。私はこの映画のエンディングが大好きで、Youtubeでそのシーンだけを何度も見た。

 自分ならこの結末を「救われた」と感じるのか「救われない」と感じるのか、是非映画を見て確認して欲しい。

 あと、「パーフェクト・センス」というタイトルはとても秀逸だと思う。

***

 以上、ここで紹介した映画は単に「救われない」というテーマだけで紹介したものではなく、作品としてどれも素晴らしいものばかりだ。もちろん私の個人的な趣向も存分に加味されているが、どれかひとつでも気に入るものがあれば嬉しい。

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