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日常の観察者になること/『フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク

 ずっと見たいと思っていて結局映画館に行けずじまいだった映画、『フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク』のレンタルがiTunesで始まった。

 タイトルの通り、この映画はNYを舞台に活躍する15人の写真家たちに迫ったドキュメンタリー作品だ。それぞれが強烈な個性を放つ写真家たちが、それぞれのスタイルでNYという街をシャッターに収めていく。

 登場する写真家の中で、僕が特に惹かれたのがBoogieというセルビア出身の写真家。彼が生まれ育ったセルビアのベオグラードという都市は、1990年代当時内戦の真っ只中で、彼が写真を撮り始めたのもそういった辛い現実から少しでも目を背けるためだったという。そう語る彼の発言の中で、とても印象に残っているものがある。

『レンズをのぞけば、当事者ではなく観察者になれる』

 彼が写真を撮り始めた直接的な動機は、「何かを表現したい」とか「記録を残したい」といったポジティブなものではなく、「写真を撮っている間だけは現実を直視しなくてすむ」という、シリアスで切実なものだった。写真を撮るという行為は彼にとって、いわば生きる手段のひとつだった。

 彼はその後NYに移り住み、写真家としての本格的な活動を始める。中でも、ギャングやドラッグディーラー、ドラッグ中毒者たちをモノクロで撮り集めた『IT’S ALL GOOD』には、銃口をこちらに向けたギャングの写真など、日本ではまずお目にかかれないようなシーンがたくさん収められている。


出典 | http://www.artcoup.com/gangs/#

IT’S ALL GOOD – boogie |photographer

GANGS – boogie |photographer

 映画には他にも老若男女、さまざまなスタイルと作風を持った写真家が登場するが、彼ら・彼女らに共通していたのは、デジタルよりもフィルムを好んで使っているという点だ。あと、Leicaの使用率も高かった。作中では「デジタルの利便さが写真を殺す」とか「そこら中にろくでもない写真が溢れかえるようになる」といった発言も出てきたが、女性写真家のジル・フリードマンのセリフがいちばんしっくりときた。
 彼女は、そういったデジタル vs アナログのような論争は「ほんとうにくだらない」と切り捨て、「写真は写真。それ以上でもそれ以下でもないでしょう」と言った。どんなツールや手法を用いたとしても、撮った写真がすべてだということだ。

 この映画を見ると写欲を掻き立てられるし、BGMとして部屋でずっと流しておきたいような、素晴らしい作品だった。

シェリル・ダン監督作品「フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク (字幕版)」の予告編を視聴、カスタマーと批評家のレビューをチェック。¥2,500で。
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