例えば、今の仕事とは違うことにチャレンジしたいと思っていたとして、それをいきなり行動に移すことは難しい。今の仕事を続けながら、何か新しいことを少しづつ始めていければ、それが取っ掛かりとしては一番やりやすいのではないだろうか。
昨日の毎日新聞の朝刊に、興味深い記事が載っていた。
それは、旅をしながら職場体験ができる「仕事旅行」というものを紹介する記事だった。「大人になっても、まるで旅をするように気軽に別の仕事を体験できたらー」記事はそのような始まりで、とある会社が始めた新しい旅の形を紹介していた。
旅×職業体験という新しいスタイル
この「仕事旅行」なるものを提供するのは、東京都品川区にある「仕事旅行社」だ。
代表の田中氏(@tsubasa0717)と、内田氏(@uchida_yasuyuki)が2人で運営している。田中氏は、前職の金融会社に勤めていた際にさまざまな会社を訪問し、その楽しさに取り憑かれたことが会社設立のきっかけだと書いている。
仕事旅行社が提供するのは、「職場見学」ではなく「職業体験」である。よくある工場見学や工房見学とは違い、「実際にそこで働いてみる」ことができるのが大きな特徴だ。HPの「仕事旅行とは」のページには以下のような説明がある。
旅先は、ひとつひとつ手作り。
すべて仕事旅行社のスタッフたちが、自分の足で見つけて、体験して、「よし、ここなら大丈夫」と納得して、開拓したホスピタリティのある旅先ばかりです。安心してご参加ください。
プロの職場や言葉に触れよう。
旅先で、あなたをお迎えするのは、プロフェッショナルな職業人。その道で真剣に生きている人の考え方や言葉、職場の空気に触れる体験は、あなたの世界を広げてくれるでしょう。
提供されているプログラムはすべて、提供する側が自分たちの目で見て体験したものだけ、というのは参加する側からすると非常に安心だし、好感が持てる。また、「その道で真剣に生きている人の考え方や言葉、職場の空気に触れる体験は、あなたの世界を広げてくれる」というのもまさしくその通りだと思う。
1日めは職業体験で2日目は普通に観光する、または、2日連続で別々の職業体験に参加するなど、組み合わせ次第でいろいろな楽しみ方ができそうだ。
体験できる職業のレパートリーが幅広い
詳しくはHPを参照して頂きたいが、現在提供されている職業体験は以下の様なものがある。
- 伝統技術ディレクターになる旅
- お坊さんになる旅
- ねぶた師になる旅
- ヴァイオリン職人になる旅
- ネイチャーガイドになる旅
- ご当地キャラになる旅
- 占い師になる旅
- ヨガインストラクターになる旅
- イルカトレーナーになる旅
- 家具職人になる旅
- 仕事旅行社で働く旅
ここにあげたのはごく一部で、この他にも本当にさまざまな、中には「そんな職業あるの?」と思ってしまうようなものまで網羅されている。職業にしたい、とまでは考えていなくても、一度体験してみたいというものがきっとひとつは見つかるだろう。
気になる料金だが、だいたい10,000円〜20,000円の間で参加できるものが多い(中には数千円で参加できるものある)。場所は都内が多いが、九州や京都、愛知県や長野県まで、全国に広がっている。
「極端にブレてみないと自分の芯が見えてこない」という記事にも書いたけれど、人は自分が実際にやったことしか本当の意味で理解することはできない。実際にやってみるということは、自分の中に持っているイメージと、現実とのギャップを確認するということだ。実際に体験してみたら、「楽しくて俄然やってみたくなった」となるかもしれないし、「思っていたのと少し違った」となるかもしれない。だがこれらはどちらも、体験してみて初めて分かることだ。
冒頭で紹介した新聞記事でも、「遊びと研修の間」と表現されていた。適度に真剣に遊びつつ、「自分は何に向いているのか?」「自分は何が好きなのか?」を再発見、再確認するためにも、この「仕事旅行」はぴったりなのではないかと思う。大人になってから「職業体験」できる機会など、なかなかないのだから。
私は沖縄の「海が見えるカフェで働く旅」に行ってみたい。ただの息抜きや現実逃避の旅ではなく、何か自分の将来や生き方に意味をもたらす旅。「仕事旅行」とはまさに、そんな旅の新しいスタイルなのではないかと思う。
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