直島の旅日記を続ける前に、そもそも直島というのはどんな島なのかということを紹介しておきたい。
直島は、瀬戸内海に浮かぶ人口3,000人ほどの島。香川県香川郡に属し、直島を含む27の島々から構成されるエリアを直島町と呼ぶ。地理的には、香川県よりも岡山県に近く、岡山県からもフェリーが運行している。
目次
なぜ、人口3,000人の小さな島が「アートの島」と呼ばれるようになったか
島に訪れた転機
直島というのは、知る人ぞ知る「アートの島」として有名だが、瀬戸内海に浮かぶ小さな島が、どのようにして「アートの島」と呼ばれるようになったのだろう。
1960年台以降、島の主な事業は金属精錬だったが、人口は減る一方で、島は何か新しい事業開拓を迫られる。このあたりの歴史や背景については、Wikipediaに詳しく書いてある。
島に転機が訪れるのは1985年のこと。当時の町長であった三宅親連と、福武書店(現ベネッセコーポレーション)の創業者である福武哲彦の、「島を文化的な場所にしたい」というお互いの理念が合致し、具体的な開発にかかることに。その後急逝した福武哲彦の後は、息子の福武總一郎が引き継いだ。
1985年、瀬戸内海の島に世界中の子供たちが集える場を作りたいとの思いを抱いていた福武書店(当時)の創業社長福武哲彦と、直島の南側一体を清潔で教育的な文化エリアとして開発したいとの夢を描いていた当時の直島町長三宅親連が会談し、直島開発の約束が交わされました。当初は試験的に福武書店の社員と子供たちがキャンプを行うことから活動が始まりました。(出典:ベネッセアートサイト直島|歴史)
建築家 安藤忠雄の参画
1987年に一帯の土地を福武總一郎が購入し、1989年に研修所、キャンプ場を建築家の安藤忠雄のマスタープランでオープンさせる。安藤忠雄はこのとき48歳。安藤はその後、直島プロジェクトに参画し、1992年のベネッセハウス、1999年の「家プロジェクト」(南寺)も手がける。
それまでなんの知名度もなかった直島を一躍有名にしたのは、言うまでもなく安藤忠雄による功績が大きいだろう。実際私も、直島にはどんなものがあるのか知らずにいたけれど、「安藤忠雄が手がけた〜」程度の知識はあった。
直島は、一般人にはまだそれほど知名度はないかもしれないが、建築や美術・芸術なんかを専攻している学生などは必ずいちどは耳にするのではないだろうか。
どうやって安藤忠雄のような世界的な建築家をこのプロジェクトに参画させることができたのか。莫大なお金を積んだからなのかもしれないし、三宅氏と福武氏の理念に安藤が共鳴したからかもしれない。詳しい経緯は分からないが、少なくとも両氏の意思は引き継がれ、立派に成功を収めたと言えるだろう。
徐々に島民からも受け入れられるように
Wikipediaにこう記述がある。
当初美術館は浮き気味で町民の関心も薄かったが、島全体を使った現代美術展(スタンダード展)、本村の無人の古民家を買い上げて保存・再生し現代美術のインスタレーションの恒久展示場とする家プロジェクト(正確には古民家の再生は2件、ほか1件は新築で残る1件は老朽化した神社の再生)などを重ねることで、徐々に活動が町内の理解を得られるようになり、直島でしか見られないプロジェクトや建築は国内外からの注目も集めるようになった。(出典:Wikipedia)
地方にいくほど、変化や異物を嫌い、抵抗する傾向が強いように思う。直島のような小さな離島であればなおさらだろう。「直島をアートの島にして人を呼び込もう」という計画には、反対する島民も多かったのではないだろうか。こういったことは、「島民にとっての嬉しさ」もきちんと確保し、理解された上で進めていかなければならない。
こちらも安藤忠雄が手がけた、無人の古民家をリノベーションする「家プロジェクト」などは、まさにそういった「島にとっても良いこと」をとても上手く利用している。
一部の特権的な人間が「こういうことをやりたい」と一方的に進めるのではなく、そこに住む人達も上手に巻き込んで、意義を感じてもらいながら進める。そのことに成功したからこそ、直島は「アートの島」としての地位を築くことができたのだと思う。
直島の主な観光エリア
直島の主な観光エリアは、大きく4つに分けられる。
宮ノ浦エリア
主な観光スポット
- 海の駅「なおしま」
- スラグ陶芸体験工房
- 直島銭湯
- 007記念館
ベネッセアートサイト直島
主な観光スポット
- 地中美術館
- 李禹煥(リー・ウーファン)美術館
- ベネッセハウス・ミュージアム
- 屋外作品群
積浦・琴弾地エリア
主な観光スポット
- 直島釣り公園
- 琴弾地海水浴場 直島ふるさとの家 つつじ荘
本村エリア
主な観光スポット
- 本村港
- ANDO MUSEUM
- 家プロジェクト
以下のサイトから、直島のMAPをPDFでダウンロードすることができる。私も、同じものをフェリー乗り場で貰い、この地図を頼りに島を回った。
次回は、最初に訪れた観光スポット、地中美術館について。