少し前に、「ダウンロードするよりもCD買うほうが安いんだったら、CD買うほうがいいんじゃないか」とか「今後、CDよりもダウンロード購入の方が高額になったとしたら、どちらのほうが売れるようになるんだろう」みたいな、とりとめのない内容のことを書いた。
このことについてはその後も色々と考えていたのだけど、そもそも大きな問題点を見逃していたことに気がついた。
パソコンを持たない人の増加
以下の記事では、日本の若者(13歳〜29歳)のパソコン(ノート・デスクトップ)の所持率が、諸外国のそれに比べ著しく低いというデータが示されている。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/02/blog-post_25.html
パソコンを持たないということは、私が先日書いたような「安くCDを買って自分でデジタル化する」こともできないということになる。
また、パソコンを持たずにスマホだけを持つ「スマホ族」というのは、日本だけに多く見られる特徴なのだそうだ。
http://tmaita77.blogspot.jp/2015/09/10.html
だから、いくらCDの方が安かろうが、そもそもパソコンを持っていなければ自分でデジタル化することもできず、最初からダウンロード購入するしか選択肢がなくなってしまう。
パソコンを持たない世代にとっての音楽プレイヤーとは何だろう
私が小学生の頃は、まだカセットテープが存在していた。中学生になったころにようやくMDが登場し、MDコンポやCDコンポといった、カセットテープ・CD・MDの3つがセットになった音楽プレイヤーや、ウォークマンのようなポータブル音楽プレイヤーを持つのが流行った。MDと言っても、録音できる長さは限られているので、だいたいアルバム1枚をMD1枚に録音して、それを何枚も保有していた。単にCDのサイズが小さくなっただけのものだった。
パソコンを持たない若者は、どうやって音楽を聴くのだろう。パソコンは持っていないけれど、CDラジカセやコンポは持っています、という人はあまりいないような気がする。そういう人たちにとってCDを買うというのは、私の感覚で言う「レコードを買う」ようなものなのだろうか。CDを買うこと自体がすでにマニアックな行為であり、それを聴くための装置もわざわざ用意しなければならない、みたいな。
若かりし頃の自分にとっては、少なくともパソコンなんかよりも音楽プレイヤーのほうがよほど魅力的に思えたし、欲しくてたまらなかった。
音楽を聞く媒体と機器の変化
言うまでもなく、iPodとiTunesの登場は、それまでの音楽の聴き方というか、接し方を大きく変えた。パソコンも持たず、音楽プレイヤーも持たない人たちが音楽を聞こうとすると、必然的にiTunesなどからiPhoneなどのスマートフォンにダウンロードしてから聴くことになるのだろう。
また最近では、Apple MusicやAWA、Sound Cloudのように、特定のアーティストのアルバムや曲を”購入して”聴くのではなく、一定額を支払うことで”聴き放題”になるサービスや、完全無料で利用できるサービスも登場している。
こういった現状を考えてみると、私が先日書いた「CDのほうが安けりゃCDでいいじゃん」という発想は、とても的外れというか、時代遅れな考えなのかもしれない。いや、そういう問題じゃないんだよと。
世界的に見ても、今やCDの売上をデジタル音楽配信の売上が上回るようになったそうだ。
http://gigazine.net/news/20150416-digital-music-revenue-overtakes-CD-sales/
こと日本について言うと、CDが売れなくなった原因というのは、登場するアーティストや生み出される音楽の質が…といった問題ももちろんあるのだろうけれど、そもそもCDを買ったところで聴くことができないという、現代ならではの問題も考えられるのではないかと思う。
CDが売れないのは売り方や中身うんぬんの話ではなく、そもそもCDという存在自体が時代遅れになりつつあるという事実も、少なからずあるのではないだろうか。